よくある質問

① どうようなものが表装にできますか?
書道家が画仙紙(和紙)を半分に切ったサイズに書かれた作品。 住職が書かれた名号、法名軸、曼荼羅の大幅軸。 絵絹・和紙に書かれた仏画、日本画。 四国八十八ヶ所・西国三十三ヶ所等の朱印軸、集印軸、納経軸。佛表具・仏表具・御影額。 歌舞伎の隈どり、拓本、魚拓など。 団扇、扇子などの扇面の本紙。 古物表具など折れや破れのひどい物でも大丈夫です。

② いくらぐらいで表装して頂けますか?
お客様のご予算に合わせて表装させていただきます。表装の裂地は大変種類が多く、値段もさまざ まです。古物表具の場合、はがし代、修理修復代、洗い・しみ抜き代、傷み具合によって値段が変わります。表具師が提案させていただきますので、お気軽にご相談ください。

③ 期間はどのくらいかかりますか?
ご依頼の内容により変わりますが、目安として表装のみであれば2ヶ月、本紙の洗い・しみ抜き、古書画の修理修復、掛け軸の修理等は3ヶ月ほどみてください。額・屏風・衝立は3ヶ月程度かかります。

④ 掛軸の取扱いの注意点と保存方法?
掛け軸はある程度高温多湿に適応できるように作られていますが、過度の『湿気』や『乾燥』を嫌います。 掛け軸は表具裂を和紙で裏打ちされているので乾燥には大変弱く暖房を点けた部屋に掛け続けていると軸 が反ってしまいます。暖房の効いた部屋で反りを防ぐためには加湿器を点けて湿度が50~60度になるように してください。直射日光や急激な温度変化のある場所には軸を掛けないようにしてください。掛け軸を箱に収めるときは天気の良い日に、手の汗や汚れを拭い軸のほこりをはたきで落してから桐箱に 収納していただくと『カビ』や『染み』や『ホシ』が予防できます。雨の日に湿気を含んだまましまうとカビが生え たり、『肌裏』・『増裏』・『総裏』が浮く原因になります。虫干しは春と秋の年二回、掛け軸に風を通すことで本紙の湿気が取り除くことができれば『カビ』や『染み』 を防ぎ掛け軸を長持ちさせることが出来ます。長い間掛けっ放しにしておくと『焼け』や『染み』が出てくるので 注意が必要です。

⑤  竹屋町裂?
紗地に平金糸で文様を縫いつけた裂地。元和年間(1615-24)に堺に訪れた明の工人からこの技法を学んだ 銭屋、松屋の両人が、京都の竹屋町でこの織物を織り始めたことから、竹屋町裂と呼ばれるようになった。表装に用いる金紗の一つ。

⑥ 経師(きょうじ)と表具師のちがい?
経師と表具師は同じ職業です。経文などを多く扱っていたため、経師と呼ばれるようになり、東京(関東)地方では今でも経師といいます。

⑦ 茶掛・茶掛表具・茶掛表装?
お茶席で掛けられる掛物。「茶掛=輪補表具」ではなく、幢補表具であってもお茶席で掛けられる掛物の全般を「(お)茶掛」という。宗匠・茶人の書や絵、画讃や禅僧の墨蹟などが多い。お茶席にふさわしい趣の取り合わせの表具(表装)・掛物。

掛け軸の名称

本紙  掛軸・巻物・額装において表具を施す本体となる書画を指していう。材質が絹であっても本紙と呼ぶ。
一文字 本紙の上と下に施される部分。他の部分より格の高い裂地を使う。
例えば中廻しが金襴の場合、一文字は紗金、また中廻しが紗の場合は一文字は印金となる。
中廻し 一文字の外側天地の内側の部分で柱も含む。裂の取り合わせを考える場合本紙を引き立てる最も大切な部分。中縁(ちゅうべり)略して中(ちゅう)と呼ぶこともある。
上下 中廻しの上と下にある部分。天地ともいい、上を天、下を地ともいう。表補表装(真の真・行・草)では上下と柱がつながった状態で本紙の周りを囲むことから総縁(そうべり)と呼ばれる。
風帯 天の部分に下げるもの。表の裂地は一文字と同じものを、裏は天と同じものを用いる。
露花 垂風帯の左右に付けた小さな総(ふさ)飾りのこと。露糸には撚っていない絹糸を使用し、通常は白を用いる。
佛表装・仏表装・袋表装などで上下・中廻し・一文字の細く線状に入れる裂地のこと。
筋割表装(中廻しと天地が同じ裂)にも用いる。細見・沈めなどともいう。
明朝  明朝表具、表装形式の一つ。表具の左右端に小縁を付けたもの。中国、明朝時代にわが国に入ってきたもの。南画・文人画が多く、煎茶席によく掛けられる。袋明朝・太明朝・筋割明朝などがある。
 ※ 作品を準備できない方こちらで準備できます(1万円程度)
 軸棒 上軸、掛軸の一番上につける半月型をした木。八双・発装・表木(ひょうもく)ともいう。
下軸、丸い杉の木の棒で、両端に軸先がつく。
 紐 掛緒、上軸に取り付けた鐶に結び付ける紐。掛物の大きさに合わせて紐幅を決める。
巻緒、掛緒の、縫い留めず自在に動く状態で取り付ける。
掛緒と巻緒は同じ紐で三色の糸で打った平紐を用いる。
 鐶 八双の山の部分に打ち付ける座金と掛緒をとりつける釘とからなる。
上巻  掛軸を巻いた際、表にまって見える極めて薄い絹を張った部分。毛羽立ちや擦れを防ぐ。色は一般的には浅葱か薄い白茶。仏画の場合は紺色や黒を用いる。
軸助  総裏打ちの最後で、軸袋の両端に取り付ける薄絹の小片。下軸の力のかかる部分が裂けるのを防ぐための補強。形や寸法は店によって異なる。 
軸先  下軸の両端に取り付けた部分。素材は象牙・紫檀・黒檀・花梨・角・竹・塗物・堆朱・水晶・陶器などがある。
形状は頭切(ずんぎり)・撥(ばち)・うず・千段・面取り・宋旦などがある。
裏打ち  肌裏打ち、本紙や裂地を補強し変形を防ぐために最初に行う裏打ち。
増裏打ち、本紙や裂地の補強と厚さ調整のために行う裏打ち。
中裏打ち、表具全体が比較的大きな場合に、付け廻しの後で再度行う裏打ち。折れやすさを防いだり、全体の強度を調整するための工程。
総裏打ち、掛軸・巻物の制作で本紙と裂地を継ぎ合わせた後で行う裏打ちで、裏面の仕上げとなる最後の裏打ちをいう。
外題  掛軸や巻子・和本の表紙に記された題名。 
小口  掛け軸を巻いたときの左右の両端 
巻紙  巻緒を巻いたとき、巻緒で表具を傷めないように巻緒の下に当てて巻く紙